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貧乏料理と文学と私-高尾じんぐ「くーねるまるた」- [漫画]

安倍吉俊「NieA_7」のまゆ子の科白だったか、貧乏であっても「貧乏くさいじゃない!」と、貧乏人なりに見栄を張るというのか、そういうシーンがありました。
貧乏という状態を今日明日に改善する、というのはいかんともしがたい。けれども、だからといっていかにも貧乏に見えるのは格好悪い(そこは見栄を張るなどして対処できる)と、そんな微妙なプライドを覗かせるシーンでした。

私自身、バランスシートでいうと、4~5年ほどだったか、いかに切りつめても月平均1万程度足が出る、いわゆるワーキングプア(以下)な生活をしていたことがあります。
それで、一時期改善されたものの、再就職に際し、また、結構ぎりぎりの生活を与儀なくされる(蓄えを切り崩せば当座は問題ないですが…)生活に逆戻りとなっていたりします。

…と、何故いきなり貧乏話かと言いますと、今回取り上げる作品は、基本、経済的に余裕のない女の子が主人公のものがたりのためです。 

ということで、今回取りあげるのは、
高尾じんぐ「くーねるまるた」(小学館 現在2巻まで)
になります。現在も、ビッグコミックスピリッツに連載中の作品です。

SSCN1272.JPG 

私自身は、この方の作品は、「くーねる…」が初見だったのですが、これがデビュー作というものではなく、いくつか単行本が出ているようです。絵柄が好みな方なので、まだ簡単に入手できるのでしたら、手に入れたいなぁ、と思います。まあ、作品の内容次第でもありますが。…ヤングガンガンかぁ。どんな作品なんでしょうか。

で、絵柄の話が出ましたので、絵柄というのか画風について。
丸ペンを使用していると思うのですが、若干ひっかかりがある箇所が見られることがあります。また、背景にドットのトーンのベタ貼りで、ポップな印象があります。 

トーンで気付いたところとしては、キャラクターの顔の紅潮した際の表現にトーンを使うことはありますが、他の部分では、他の漫画などではよくみられる「立体感を出すためなどに顔にトーンを張る」ことがほとんどない(ごくまれに、つかうこともあります)という辺りや、
背景にもトーンは使用するものの、結構細かい所まで、ペンで表現する箇所がまま見られ(細い線を重ねて表現する箇所が散見されます)、それが全体的にマッチしている、というのが特徴でしょうか。

絵柄の雰囲気はというと、手許にないんですが、窪之内英策に近い感じでしょうか。ポップな印象と、背景の細かさから似ているように感じるのかもしれません。

画力としては、安定している方ではないかと思います。

ものがたりは、ポルトガルからの留学生だったのが、日本を気に入りそのまま残ることにした女の子、マリア・マルタ・クウネル・グロソ(マルタさん)の、貧乏グルメと文学の話。エッセイ漫画に分類されます。
ジャンル的には、日常エッセイものといい、文学といい、個人的に好みです。なので、絵柄などの評価も甘めになっているかもしれません。


惜しいなぁ、と思われるところについても。
単行本に、作品に出てきた料理の簡単なレシピというのか、が載っているのですが、これが簡単すぎて分量等がよく分からず、「ちょっと真似てみよう」と思っても、真似ができません。

この辺り、よしながふみの作品などでは、単行本片手に再現が可能ですから、料理を扱っているのでしたら、少し配慮していただけるとありがたいように感じます。
…はたと気づくに、みんな作品の料理を真似ようとするほど貧乏じゃないと考えられているんでしょうか? そうか? そうなのか? 私が想定外の貧乏なので、上記のように思うのかもしれません…。

あとは…、そうですね。主人公マルタさんの体のラインでしょうか。
モデルのようなスタイルではないように、との意識もあるんでしょうが、食いしん坊な方ということで、ウエスト周りをあまり絞らないように意識して描いているように思います。
…胸が大きめなキャラクターだから、そう見えるんでしょうか。単に、作者のクセなのかもしれません。デフォルメの関係で、他の漫画では、モデルと見まごうばかりのウエストで描かれることがあるので、高尾…の方が写実的というだけで、その対比で気になるだけかもしれません。
ただ、なんとなく、絵柄からすると、もっとウエストを細く描くのが一般的のように感じます。…デフォルメ慣れ?

まあ、それはともかく、構えずにお気楽に読めて、案外薀蓄にも満ちている、そんな作品ですので、上記に挙げたようなところがちょっと気になる方は、ご覧になってみてはいかがかと思います。

ということで今回は、一度、作中にあった夏ミカンのジャムを作ったけど、砂糖減量で作ったので、苦み走った出来になったのは内緒、という話。


尻すぼみにならぬように-モリエサトシ「星空のカラス」- [漫画]

本当に久々に漫画の単行本について書こうと思います。…恥ずかしながら、何年振り?というくらい、単行本の感想書いてなかったですね。ブログのタイトル、変更した方がいいかもしれません。

それはともかく、従前通り、大したことは書けないかと思いますが、「こんな作品あったんだ」という、ちょっとした気付きの手助けになれば、と思います。 


で、今回取り上げる作品は、モリエサトシ「星空のカラス」(白泉社 現在2巻まで)になります。

私は、女性向け方面は弱いので、存じない方でしたが、この方、結構単行本は出していらっしゃるようですね。

SSCN1266.JPG

カバーはこんな感じ。花とゆめコミックス、基本的なカバーレイアウト変わっちゃたんですよね…。
慣れていることもあって、従前のものの方がどちらかというと好きなんですが、古臭いイメージになってきているので、イメージチェンジということなんでしょうか。
…作品タイトル部分の空白分、カバーイラストが小さくなって、インパクトに欠けるからかもしれませんね。

ただ、言わせていただくと、既存分はそのままに、新規に1巻が出る単行本から変更、の方が個人的にはありがたかったのですが。途中から変わるのは、正直、なんか変な感じがします。

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コレが…

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こんな感じに。…やはり1巻のレイアウトの方が好きなんだけどなぁ。 


ともあれ、作品について。あらすじはこんな感じ。
主人公は、烏丸和歌(からすま わか)という13歳の女の子(1巻のカバーの娘さん)。でも、年齢と名前を伏せて、従姉の名を借りて囲碁を打っている。それは、囲碁を打つのを母に反対されているから。そんなある日、「オレ様」な、傲慢で軽薄な若手棋士鷺坂総司(さぎさか こうじ 2巻のカバーのにいちゃんに出会って…、という話。

画力的なところを申しますと、のっけから、否定的で申し訳ないのですが、単行本の数の割には…、という印象が否めません。
他の作品を知りませんので、えらそうに決めつける意図はありませんが、この方、絵柄に重きを置いている方ではないように思います。

特筆すべきは、やはり題材が囲碁ということではないかと思います。女性向けで、囲碁というチョイスが面白く感じられます。ジャンプで「ヒカルの碁」が先行してヒットしましたので、前代未聞というものでは決してありませんが、なかなか興味を持ちにくい題材ではあるように思います。
で、囲碁をダシに使ってメインは別のところにあるというものではなく、盤面全体こそあまり出しませんが、局地戦については、画面上に描くなどして、題材をおざなりにしていないのも、個人的には気に入っています。

他に囲碁を扱っている作品というものを見かけませんので、題材の掘り下げ方を比較し吟味できないところは個人的に残念なのですが、それだけ漫画作品の題材としてマイナーなものを扱おうという意欲が素晴らしいと思います。

で、それだけマニアックな内容となっているのかというと、そんなことはありませんで、きちんと主人公の女の子が女の子してますし、漫画作品として成立していますので、「囲碁?そこはどうでもいいよ」という方も、読める作品となっていると思います。

ものがたりの各論というのか、かなり些末なところになりますが、年齢に似合わない(実年齢よりかなり年上にみられる)容貌の主人公の女の子の、思いがけずドン臭いところなどは、個人的に結構好きだったりします。

あと、これは、別に描きたいところがかなり異なっているので、心配するようなものではないと思いますが、同じ題材の作品としてほんの少しだけ引っ掛かってしまうのは、件の某作品のように尻すぼみのぱっとしない終わり方をしてほしくないなぁ、ということでしょうか。

あの作品、取ってつけたような展開をせざるを得ない事情があったのかもしれませんが、佐為(って書いちゃいました…)がいなくなってからの展開の締めとして、昔の人から受け取ったものを、後の世代へ引き継いでいくという役割を担っていく(といったニュアンスだったと思いますが、人に差し上げてしまったので単行本が手許にありませんで、全然違っていたら申し訳ないです)などという辺りが主人公の口から語られていましたが…、そんなこと、引き伸ばして描かなければならなかった必然性が感じられず、結構残念でした。
佐為との訣別、そしてヒカルの成長を描くにしても、もっと短いエピソードで十分だったように思います。

この辺り、日本が勝てなかった点を取り上げ、他の国への配慮というのか圧力というのかがあって…、と云々するような方もまま見られましたが、個人的には、あの話の中で、国別対抗の勝ち負けってそんなに重要だったのかなぁ、あまり重要でないところに気を取られ、作品の読むべきところを見誤っているのでは?と、当時思ったりしました。まあ、人の読み方はそれぞれですし、自由に読めばいいものですから、「正しい読み方」が存在する訳ではないですけれども。

…と、話が随分と逸れました。
ともあれ、そのような展開を見せる作品ではないと思います。また、従前の単行本の連載の長さを見るに、端的にまとめてくれそうな印象がありますし、作者も、もともと2巻完結の予定であった旨単行本の中で書いていましたので、そうは引っ張らず、最後まで楽しませていただける作品にしていただけるのではないかと、思っています。

ということで今回は、久々の漫画についての感想、という話。


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